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なぜ科学ではなく疑似科学になってしまうのか [疑似科学総論]

 おそらくは、彼らが科学について、実際よりも安易に考えている事が最大の原因であると睨んでいます。

 この世は、科学の成果で満ちあふれています。そして、一般の人は、『科学的理論』ができるまでのサクセスストーリーばかりに触れます。そして、そのサクセスストーリーにおいては、「発想の転換」やら「インスピレーション」やらがスパイスとして効かされている事も往々にしてあります。読み物としては、地味な努力の積み重ねより、ちょっと変わったエピソードが多く含まれるものが好まれます。
 となると、そのような情報にしか触れない人の意識に残る科学のイメージは非常に偏ったものになるわけです。しかも、「科学少年・少女」的にそのような本を読みあされば読みあさるほどその偏りは強くなるかもしれません。

 そのせいか、「疑似科学」の主張者は、自分自身の境遇を科学史上の天才になぞらえる、ということが見受けられます(自分の説が受け入れない事を、ガリレオと宗教裁判になぞらえてみたりとか→「正しくても、受け入れられない事がある」と「受け入れられないのは正しいからだ」は別の話なのですがね)。
 このように、自分の知る「科学者についての知識」に自分を当てはめる事が、もしかしたら彼らの拙い「科学的」の根拠なのかもしれません。

 じゃぁ実際の科学の現場ではどうかというと、地道な研究の積み重ねです。
 いきなりセンセーショナルな発見をするなんて宝くじを買うようなもので、本気でそれを狙うならば、何も残らない失敗を繰り返すばかりで、まず当たりません。
 当たり前のような事を地道に積み重ねる事で目的に到達するのが、最も現実的で、かつ最適な方法です。
 忘れてはいけないのは、一握りの天才が、思い付きを華麗に科学的理論に成し遂げる事も確かにありますが(いつの世も天才はいます)、それは希有な例だから、話題になるのです。
 誰でもアインシュタインのようになれるわけではない。むしろこの世の殆どの人間は、アインシュタインのようにはなれない人ばかりなのです。それを忘れちゃぁいけません。

 科学の本当にすごいところは、きちんと科学的に研究をする限り、その結果は、将来の自分、あるいは他の研究者の道しるべとして残り続けると言うことです。
 それは、結果として間違いである事分かった研究であってもそうです。もし将来同じ事をやろうとした人が、その研究結果を見つければ、無駄な研究をする事無く、より有望な方の研究に方向転換できるわけです。

 しかし、「疑似科学」の主張者の科学に対する意識は「自分が天才である事を証明するツール」ぐらいでしかなく、「科学」よりも「直感」を重視して研究方法とか先行研究とか肝心な事をすっ飛ばすくせに、「科学」という勲章を付けたがっているにすぎないと思われます。

 時たま、「疑似科学」の主張者らは、「疑似科学」批判者に対し、『科学万能主義』という言葉を投げかける事がありますが、実際は科学者ほど「科学は万能でない」事が身に染みて分かっている人種はありません。

※ そういえば、少年漫画を読んでいたら自己の「完全」性を主張する者に対し、「完全とは科学者が一番恐れなくてはならない事だ。それはする事がなくなってしまう事を意味するから」(少年ジャンプ・ブリーチ。台詞はうろおぼえにつき不正確ん)と言う場面があり、上手い事言うなぁと感心しました。

 もしかすると、「科学は万能」と素朴に思い、「科学的に正しい事は真理だ」と信じているのは、むしろ彼らの方かも知れません。だからこそ、「自分が真理と思うことは科学的にも正しいはず」と論理的にも誤った考えを持ったり、自分の主観的事実すらも、万能な科学で説明できるはずだ、と高望みしたりすると考えると非常に腑に落ちるのですが。


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コメント 6

ask

はじめまして。So-netブログにようこそ。
私も疑似科学に苦々しい思いを抱いています。
これから読者登録させて頂きます。
ちなみに私が「似非科学」について書いた
記事をトラックバックしました。
by ask (2008-02-06 23:21) 

Judgement

わぁ、はじめまして。第一号です。
私もaskさんのブログ読ませていただきました。

なんか、「言葉」カテゴリーが心の琴線に触れました~
今後ともよろしくお願いします
by Judgement (2008-02-06 23:59) 

ohsamu

はじめまして,kikulogで拝見しました。

私もとあるところでこのテの御方(心霊系)とやりあったことがあります。まさにガリレオ気取りでした。

特に最後の段落,私も実感しました。彼らこそ「科学は万能」と信じ込んでいますね。こういった方々の考え方はどのように形成されるのか,大変興味を持っています。


今後も更新を楽しみにしております。
by ohsamu (2008-02-07 11:32) 

トンデモブラウ

はじめまして、kikulog経由で来ました。
イチローやシュガー・レイ・レナードになれると思う人は非常に少ないのに、ガリレオやアインシュタインは超えたと考える人が多いのに、本当にビックリですわ。
by トンデモブラウ (2008-02-07 11:50) 

ask

>第一号です。
おーっ!一番なんて取ったのいつ以来だろう。嬉しい。

 ところで、まだSo-netには不案内でしょうから、一つ「疑似科学」関連で面白いブログをご案内しましょう。
新聞のチラシによくある、インチキ詐欺商品広告のコレクションをしてる人が居るのです。その熱意と言ったらもー〈殆どビョーキ〉かも知れません。
いや基本的には「同志」なんですが。本人もなにやらアンビバレンツな感情に悩んでるようですけど…。
http://blog.so-net.ne.jp/duznamak/archive/c298079
をご覧下さい。
by ask (2008-02-07 23:28) 

Judgement

ohsamuさん、トンデモブラウさん、コメントありがとうごさいます。
askさん、再書き込みと面白いブログ紹介ありがとうございます。
今日になって、ブログにしては量書きすぎと気付いたJudgement です。
えらく読みにくくてすいません。

私も元々は「血液型性格関連説」批判ではなく、オカルト系(私の場合「超能力」)とやりあっていました。
本家HPも、実はそっちの方用に作ったものだったんですよ。
それがそのまま色々使えそうなあたり、「このテの御方」は似たり寄ったりです。
こういう人達は、「科学的だから自論は正しい」って言うくせに、
都合が悪いと「科学万能主義者」というわら人形を一生懸命攻撃するんでよすねぇ。

確かに!スポーツ分野にはいない気が...(まぁ、子供の頃は皆夢見るんでしょうけど)
でも、「オレ最強」はいるんじゃないかしら。
ボクシングでは負けたけど、ストリートでは俺最強とか
あとは、肩を痛めてさえいなければ、今頃は大リーグでとか
なんか、おじさんの「昔はワルだった」話に通じるものがあるけど。

実は私も、インチキ商品の広告好きなんです。
私はチラシよりも、アングラ系の(何読んでるんだ)雑誌の広告ですが。
家族ぐるみで札束もった写真掲載されて、「おいおい、何と引き換えにここで顔さらすのだ」と、子供の将来考えてブルーになったり、ハリウッド女優も愛用!の写真に「あんた誰?」と突っ込んだり。
さすがにザインの核石『怨敵降伏どんどん神社』は、インチキを通り越している気がしますが。
by Judgement (2008-02-07 23:44) 

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