SSブログ

文系・理系の分類基準 [文系のたわごと]

 ぱんださんやapjさんからコメントもらったり、読んでいるブログに登録しているTAKESANさん(この呼び方でいいのだろうか…)とこでも
 http://seisin-isiki-karada.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_6e30.html
なんて動きになったりして、私の話に耳を傾けてもらって嬉しい反面、大きく広げた風呂敷を上手く畳めるかどうか非常に不安…。
 出発点が思い付きなので、キタイシナイデクダサイ…
 とりあえず、一旦拡散させてから、収拾可能か考えよう(別名、いきあたりばったり)。

 
 今までざくっと「文系」と言ってきたけど、実際には文系にも色々あるんですよね(これは理系も同様でしょう)。
 話を進めるために、理系の学問、文系の学問を分ける基準を見つけてみようと思ったけど、いきなりそこでつまづいてしまった。
 
 とりあえず、私の母校で記憶に残っている学部や専攻を思い出してみた(現在は違う体制のようだけど)。ただ同じ大学なのに、他分野は結構覚えていない。異なる学部もキャンパスとキャンパスが数10km~100km以上離れてたりする詐欺な総合大学だったから無理は無いんだけど。

 まず、人文学部があって、その中に文学科・法学科・経済学科が有り、文学科は文学・語学・史学・哲学の専攻に分かれる。さらに、哲学専攻は哲学(純哲と呼ばれていた)・論理学・美学・心理学・社会学の各コースに分かれる。なかなかディープなディレクトリ構造だ。
 教育学部は、どちらかというと文系かもしれないけど、音楽科とかもあり、ひとくちにそうであるとは言えない点が微妙だ。
 理系は、理学部・工学部・農学部・医学部で、理学部には物理・化学・生物・数学・地理等があったような気がする。

 ...さて困った。スパッと綺麗に文系・理系を分けられる項目が今ひとつ見つからない。
 対象が人間or自然、では文系は良いが、医学が境界になり、工学・数学あたりが宙に浮く。
 数学が不要or必要、では心理学や社会学、経済学が黙っていない。
 世の中に役に立つor立たない?そんな分け方私が許さん。

 明らかな違いは、やっぱり受験科目の違い、といった「入る時」の項目しか思いつかない。

 ということで、私はとりあえず、両者の違いを「受験科目の違い」として話を進めますが、もし、スパッと分けれるアイディアのある方、ぜひコメントください。


nice!(0)  コメント(23)  トラックバック(1) 
共通テーマ:学問

nice! 0

コメント 23

ぱんだ

 こんばんは。どんな展開になるか楽しみです ^^
 まあ、収拾つかなかったらつかなかったで、それもまた一興ということで。

 例えば思いつきですが、物理学または化学との絡み具合で考えてみるのはどうでしょうか。
 多くの工学は物理学と密接に絡みます。一部は化学。
 農学・医学は、先端の応用はともかくベースにはかなり化学が絡むと思われます。
 数学はこの分類では例外っちゃあ例外ですが、数学は物理と両輪で発展してきたという歴史があります。物理抜きに数学のコアな世界を語るのは、恐らく難しいでしょう。
 逆に「文系学問」で、物理学や化学にディープに関わるものって、あるでしょうか?

 実は、情報科学(or工学)はこの分類だと文系になってしまいます。。。
 まあ情報科学はかなり学際色が強いのは確かです。最近、理系と文系を混ぜた情報系の大学院がいくつかできてますし。まあ比較的新しい分野なので規格外ということで (^^;
by ぱんだ (2008-02-18 22:45) 

Judgement

 うーん、文系を排斥するがための分類は文系としてはちょっと...
 なんて、贅沢言っていますが、思い付き大歓迎です。

 まぁディープかどうか判断は難しいですが、心理学には精神物理学ってのがありまして、また、生理心理学では医学における生理学的な知識がからんできます。
 情報科学もそうなんですが、ある分野の学問が発展すればするほど、理系・文系問わず、他分野の知識を必要とする気がします(ちなみに、私も情報工学の院試にチャレンジした事がありますが、その時は工学部で心理学の試験を受けました。※受けただけで当然のように落ちましたが…)。つまり、先に進めば進むほど、文系・理系の区分は用をなさなくなりそうです。
 一方過去を振り返ると、それこそぱんださんも以前おっしゃったように哲学に収束するわけで、となると、理系・文系の区分がある現在の状態は、単に一過性のものかもしれない、と言うのが今の私の考えでしょうか。 
by Judgement (2008-02-18 23:28) 

ぱんだ

 う、排斥しようという意図は全くないのですが、どうも表現が難しいです。

 ちょっと別の方向から攻めてみます。
 すべての学問は哲学から生まれました。その一派である物理学と数学の発展は産業革命を起こし、世の中を一変させました。物理学と数学の進展は、化学や医学・農学にも影響し、人類の生活は飛躍的に豊かになりました。このような物質的な豊かさを直接的に支える学問を、古典的な「理系学問」と括ってみましょうか。
 ここからは Wikipedia なんぞをちらちらと見つつ述べます。「理系と文系」という区分は日本特有であると言われています(要出典)。これは、明治維新の時にとにかく急造で産業を導入せねばならなかった事情から、産業(第一次・第二次)に直接的に関わる学問か否かという区分が必要だったという話を聞いたことがあったような気がします(要出典)。
 19世紀と20世紀は、産業革命と戦争で埋め尽くされました。産業と戦争の能力は国家の生命線でした。これらの能力を高めるには、いわゆる理系的学問の力を高めるのが手っ取り早かったのはたしかです。
 21世紀も産業と戦争の世紀で良いのか?戦争はともかく産業の発展は人類を豊かにしました。しかし、豊かになることで人類は、良くも悪くも未曾有の精神状態に居ます。正負両面があります。負の側面を救うには、いままさに文系的学問が要請されていると言えます。少なくとも工学は、人文科学や社会科学の成果を全く踏まえずに進めるのは難しくなっています。
 いわゆる理数との関連の深さから、伝統的な理系と文系が分かれたという話はあるようです(要出典)。だとすれば、経済学を文系とみなすのはもとより無理があったし、心理学などでも統計的手法が重視されるようになってから伝統的な枠では語れなくなってますね。
 まあ、私もJさんも、理系文系と拘ってる割には、最終的な分類としては意味はないという認識では一致していそうですね。
 因みに私の立ち位置は情報科学と情報工学の中間くらいです。修業の身ですが。
by ぱんだ (2008-02-19 07:26) 

klm

> 理系は、理学部・工学部・農学部・医学部で、理学部には物理・化学・生物・数学・地理等があったような気がする。

×地理→○地学 でしょうか? 最近は地球物理学とか惑星科学とか名乗っていることもおおいですね。
by klm (2008-02-19 13:48) 

Judgement

>う、排斥しようという意図は全くないのですが、どうも表現が難しいです。

 あまり深く気にしないでください。
 ただ、学問から理系分野を分離し、残ったのを文系と言うのはちょっと...と、文系の側の人間として、ワザと意地悪く言っているだけです。

 で、あえて文系主体目線で、ぱんださんの話を言い換えればこうなるかなぁ
「理系とは、哲学という正統派学問から、社会におもねって飛び出した”分家”であり、中々商売上手ではあったが、最近立ち行かなくなって、本家に色目を使い出した。」
 ...うむぅ、さすがに意地悪な言い方すぎて、私自身の感覚が怖い。反響はもっと怖い。
 まぁ、ここまで偏ってはいけないけど、文系・理系双方が何らかのイニシアティブを取れる分類をしたいなぁと。 
 確かに、私も理系文系の分類に意味はないと認識してるんですが、それをあえて分類を試みる事で、その意味の無さがより分りやすくなるのかなぁと思っています。

 なお、批判でも挑発でも挑戦でもなく、正直に以前から思っていた事なんですが、大学の新設学部にはやたら「人間」や「情報」の文字が含まれまる一方で、その正体が私にはイマイチつかめません。そんな私は「情報科学」と「情報工学」の違いもよく分かないんですよぉ(自分も院試受けたくせに...)。


klmさんはじめまして。
 確かに「地球科」って感じの学科があった気がします(学校敷地の道路のど真ん中で花見酒盛りをする変な人達という印象のみが残っています)。
 ただ、地理学=geographyという分野もあるにはあるんですね。現在GISによる商圏分析とか、結構活躍している分野です。
 だけど、Wikiで見たら「社会科学と自然科学という両面の性格を有する。」だそうで、母校の理学部には無かったかもしれません。
 思いがけず境界例をまた発見してしまいました。
by Judgement (2008-02-19 23:23) 

klm

地理学はどちらかといえば人文系のイメージがあるんですが、たぶんに地政学とイメージがごっちゃになってるだけかもしれません。

地学はセンター試験だと、天文、大気・海洋、固体地球、地質・地史、岩石・鉱物という分野がふくまれているようです。(うちの母校だと天文は物理系になってますけど。)寺田寅彦先生や竹内均先生の分野ですね。

理系・文系の話でいくと、わたしは計算言語学とか自然言語処理とかいう、ちょうど境界上にいるのですが、理系・文系というよりも、純粋科学?(言語学)と応用科学(工学)の目的意識と手法のちがいに戸惑うことの方がおおいです(わたしは前者寄り)。「それ何の役に立つの?」って云われるのがいちばんツライです。
by klm (2008-02-20 11:41) 

Judgement

確かに地政学(Geopolitics)の影響は受けていますよね。
概念は文系、手法は理系、なのかな。

>「それ何の役に立つの?」
 心理も「なんでそんな分りきった事確かめるの」ばかりです。
 でも、むしろ、「役に立つ」ではなく「純粋に知りたいから」、という行動原理こそ、人間特有のもので、それこそが学問の価値であり意味だと私は思います。
by Judgement (2008-02-21 00:29) 

ぱんだ

>Judgement さん
========
「理系とは、哲学という正統派学問から、社会におもねって飛び出した”分家”であり、中々商売上手ではあったが、最近立ち行かなくなって、本家に色目を使い出した。」
========

 「立ち行かなくなった」というほどの状況ではないと思いますが、概ねそんなところですな (--;

>大学の新設学部にはやたら「人間」や「情報」~
 情報に関わっているだけに、そういう流行りに対して多少苦々しくも感じています。最近またなんだか「実学志向」だそうで、人間情報バブルもはじけつつある?

>「情報科学」と「情報工学」の違い
 理学と工学の違いと私は捉えています。もちろん、明確に分化できるものではありませんが。
 コンピュータに関する研究の出自は、もうホントに数学的なものでした。計算機を数学的にモデル化して、何をどこまで計算できるか、原理的に計算できない対象はなにか...というのを追求することで、計算機の可能性と限界を探る動きがあったわけです。対象を数学的にうまくモデル化すれば、今まで計算が大変だった対象がいきなり扱いやすくなります。計算対象のモデル化は大事。
 一方、計算機の可能性が明らかになる中で、それをハードウェア的・ソフトウェア的にどう作ったらよいかが、産業的にも重要になります。また、つくられた計算機をどのように世の中に展開できるかという話もあります。画像処理・音声処理といった計算機の応用は、アナログデータの量子化理論が発展してこそ生まれた技術的応用といえます。
 うう...書きながら色んなことが頭の中を渦巻いて、混乱しつつある自分がいます。上記はComputerの観点から情報科学・工学を捉えた比較的伝統的な分け方と思いますが、Informationの観点から情報科学・工学を捉えると、また違った見方もできそうです。そして、「情報学」なんてのもあるんだよなぁ。これも違うといえば違う。まあ、世の中でもかなり混乱してこれらの用語がつかわれているようにも思います。

 かなり主旨からずれてしまったかもしれません。


>kimさん
 はじめまして。

>「それ何の役に立つの?」って云われるのがいちばんツライです。
 古来より人類は、「知りたい」という渇望から「役に立たない」思考を死屍累々と築き上げてきました。その中のほんの一握りが今に伝えられ、学問として残っています。死屍累々と築き上げる営みがなければ、学問として世の中に残ることは決してあり得ないのです。その過程に居ることに誇りを持ちたいと思います。もちろん、自分のやっていることを後世に残すんだ!という気概は重要ですが。
 それはそうと、計算言語学・自然言語処理は、現在世の中で大いに要請される分野の一つではないでしょうか。特にインターネットの普及で情報が爆発的に増えしかも雑多になりました。それをどうにかする技術が要請されますが、解決のアプローチの一つは計算言語学・自然言語処理といった分野の応用です。あと言語翻訳。英語やドイツ語の文書を日本語で読みたい人は、日本にもごまんといるはずです。私もその一人ですが (^^;
by ぱんだ (2008-02-22 05:38) 

klm

うちの界隈は「言語をあつかう技術の研究開発」から「計算機をつかった言語学」までという具合にかなりの巾があるので目的意識のずれが生じやすいのかもしれません。結局、いまは実利に転向して形態素解析とか、かな漢字変換の研究をしています。

機械翻訳はあまりくわしくないのですが、はたで見てる分にはゆっくり確実に進歩はしているのですが、いまいちブレイクスルーが足りないところでもあるようです。
by klm (2008-02-22 17:56) 

Judgement

>「立ち行かなくなった」というほどの状況ではないと思いますが、
>概ねそんなところですな (--;
あ...ぱんださん、そこで一歩ひかないでくださいよぉ。
文系中心主義者の戯言なんですから。

>>「情報科学」と「情報工学」の違い
>理学と工学の違いと私は捉えています。
 なるほど、ありがとうございます。勉強になります。
 ...って、まだ理解した自信が無いのですが、端的に言えば基礎と応用って感じなのかしら。
 だけど、計算機ってすごいですよね。素晴らしいアルゴリズムなり回路なりは、相対性理論レベルの価値を感じます。0と1だけでなんでこんな上手い仕組み考えるんだろう、って感心しているうちに、今度は量子ですものね。

 個人的に暗号の話に興味が有り、色々読んでいるのですが、今まで「素数なんて何に使えるんだよ」と思っていたのに、天才にかかると実生活に役に立つんですよね。
 きっと、ちゃんと解明したものは、どんなものでも「いつか何かの役に立つ」んだと思います。

 あと、言語も負けず劣らずすごいと思います。
 有名なジョークに「英語は簡単だ、だってアメリカでは子供でも話している」ってのがありますが、その子供が話すような言語でも、その構造を解明しようとすると、頭のいい人が何人集まっても難しいのですから。言語を解明する事は、人間の脳のロジックを解明しているのと同じだと私は考えます。
 だからすごく興味があります。
by Judgement (2008-02-22 23:38) 

wd

「情報科学」と「情報工学」ですが、情報科学が基礎で情報工学が応用と考えるのは、ちょっと視野が狭すぎます。見方を変えると、情報科学は応用数理論理学ですし、情報工学は基礎工学のひとつですので。

端的にいえば、情報現象の性質を解明しようとするのが情報科学で、情報処理を行うのに役立てようとするのが情報工学でしょう。もちろん、情報処理は人間と計算機を含む系における情報現象ですし、情報現象の実験や観測は情報処理ですので、情報科学と情報工学の対象はかなり重なっていますし、そのために分野として重なる部分も多いのですが、同じものでも違う向きから見ていることも多いでしょう。

生理学と医学の関係にちょっと似ていますね。

研究現場にいるわれわれにとっては、情報科学か情報工学かなんてのは中途半端に粗くて役立たない分類です。自分のやっていることが情報科学なのか情報工学なのかを気にしなくてはならないのは、ポストか予算を獲得するための書類を書く時ぐらいでしょう。研究成果をどこのジャーナルに投げるかを決めるのには役立ちません。
by wd (2008-02-23 01:42) 

ぱんだ

 主旨からかなりずれ始めているので、このまま続けていいのかなと少し不安になっているのですが、今のところ続けてよさそうなので続けます (^^

>Judgementさん

今まで私が述べたところでは、
 1)文系⊃哲学⊃文系、理系
そして、理系が文系学問を取り込もうとしている点では
 2)理系⊃文系
なわけです。

 全部同値という話になりました。結局のところ、問題はどの文脈で使われるかということだと思うのです。
 大学入試では、どの科目を重点的に勉強するかという問題があるので、理系文系の区分は重要。しかしそれ以外ではそれほど意味のある分類ではないということになりそうです。Judgementさんの結論と同じところに行きつくわけですが。
 その意味で、「文系中心主義者の戯言」にもそれほど違和感を感じないわけです。もちろん、Judgementさんがそのあたりを踏まえた上で敢えて悪態ついているのを理解しているからでもあるのですが (^^;


>きっと、ちゃんと解明したものは、どんなものでも「いつか何かの役に立つ」んだと思います。

 これは、私は微妙に違うと思っています。
 「ちゃんと解明したもの」という原石が、人類の長い歴史の中から積み重なっています。その原石の山から、これを磨けば宝石になると思った人が磨き始め、そのうちのいくつかが宝石になるのです。
 いつまでも原石のままの石もあるかもしれません。しかし、原石がなければ宝石は決してできないのです。そして、原石を作る才能と原石を磨く才能は、どうも別のようです。
 従って、宝石を作るのが大事だと思っている人は、原石をせっせと作っている人をゆめゆめ軽視してはならないわけです。原石がどんな宝石になるか、あるいは原石のままでいるかは、今の人類には「わからない」わけですから。この「わからない」というのが非常に重要だと私は思っています。


>wdさん、Judgementさん、

>「情報科学と情報工学」「基礎と応用」
 「基礎と応用」という言葉は、どの文脈で使われるかという問題があると思っています。例えば物理学は、数学にとっては応用ですが、多くの工学にとっては基礎です。
 私とJudgementさんの話の範囲では、とりあえず情報の分野での話を進めていたと思うので、そこに限定すれば「情報科学と情報工学」の違いは「基礎と応用」の違いだという捉え方は的を得ていると私は思いますが、どうでしょうか。もちろん明確には分化できないというのは、すでに述べた通りです。


====(引用開始)====
自分のやっていることが情報科学なのか情報工学なのかを気にしなくてはならないのは、ポストか予算を獲得するための書類を書く時ぐらいでしょう。
====(引用終了)====

 情報科学のところに apply するときは「私は科学的観点を重視して研究を進めてきました」と書くし、情報工学のところに apply するときは「私は工学的観点を重視して研究を進めてきました」と書くでしょうね。実際、科学的観点と工学的観点を行き来しつつ研究を進めるケースが多いでしょうし。更に言うと「科学⊃工学」なので、上記で書いた科学は、「工学でない科学」という意味になりそうです。

 いま、私がいまいち解ってないのが「Information Science」と「Computer Science」の違いです。日本ではどちらも「情報科学」ですが、日本以外では意識して違う意味で使われていそうです。
 私の認識では
 「Information Science」⊃「Computer Science」
で、Information Science の中から特にコンピュータに特化して研究した分野が Computer Science であるという理解です。
 一方でこういう見方もしています。Computer Science が発展するにしたがい情報爆発などと言われるようになり、雑多な情報が溢れるようになりました。それらの雑多な情報をどう捉えるべきかという原点に立ち返った研究が必要だという意識から、Information Science という分野が隆盛を誇りだした。つまりこれは、応用から基礎分野が生まれたという、割と稀有な例なのかなと思っています。
by ぱんだ (2008-02-23 09:30) 

wd

information science と computer science については、もっとしょうもない歴史的事情があって、ヨーロッパ語のうち英語だけが変則的になっています。その事情は、英語の information science は図書館学に先に取られていたことです。そのため、後から出てきた情報工学が computer science になってしまったのです。

そのためもあって、古くからある学会やジャーナルの名前には compute の派生語が主に使われていて、information の派生語は避けられています。ACM (Association for Computing Machinery) とか TCS (Theoretical Computer Science) とか。

日本語の情報工学にあたる仏語は informatique で、独語は Informatik なので、英語もそれに合わせて informatics にすれば良いのですが(私を含むごく一部の情報科学研究者はそう主張して細々と実践していますが)、残念ながら、英語の informatics は computer science よりもさらに狭い意味で使われることが多いです。ヨーロッパ語のうちで英語だけ他と違う状態がしばらくは続くでしょう。

英語だけおかしくても、では仏語か独語にしようというわけにいかないのが現代の社会状況なので、困ったものではあります。

ほとんどの人にはどうでも良いことですが、私は doctor of informatics なので、informatics が狭い意味に限定して使われることは歓迎できない、個人的な事情があります。
by wd (2008-02-23 12:35) 

Judgement

ぱんださん、wdさん、詳細なご説明ありがとうございます。

>主旨からかなりずれ始めているので、このまま続けていいのかなと
>少し不安になっているのですが、今のところ続けてよさそうなので続けます (^^

 よろしいですよ。結構興味の有る分野なので。
 ただし、ぱんださんやWdさんに注文が!
 専門家同士で専門的な話を専門用語で話合っても、ギャラリーの方(特に私が!)話を見失ってしまうので、以下の点にご留意いただければ幸いです。
1 専門用語を使う時は一回分りやすく説明(翻訳?)してください。
2 横文字は苦手なんです...私が...
 それぐらい勉強しろ!とお叱りを受けそうですが、なにぶん全くの門外漢ですので(英語力はまた別の話ですが...)できればお願いします。

 で、お話をお聞かせいただいている際、一番根本の事が分かっていないようで思考が上手く先に進まないのですが、「情報科学」や「情報工学」という文脈の上での『情報』っていったい何を指すのでしょうか?
 印象としては「人間による人間のための情報」って気もするのですが、心理学で『情報処理』というと「認知のプロセス」ですから、そこで言う『情報』は外界の刺激全てが該当します。
 
 例えば、「一葉落ちて天下の秋を知る」という言葉が有りますが、これでいったら「情報○学」ではどのあたりの情報までを指すのでしょうか。
・葉が落ちたという情報(事実)
・秋が来たという情報(事実に従属する意味)
・「一葉落ちて天下の秋を知る」という考えが有るよという情報(知識)

※ 例えがイマイチだったら別の例でもかまいません。
by Judgement (2008-02-24 01:51) 

wd

「情報」は「データ」になんらかの構造を入れたり意味づけをしたりしたもののことです。だから、上の例では、「葉が落ちた」がすでに情報になります。なんらかの物体がなんらかの移動をしたデータに対して、「その物体は葉である」「その移動は落下である」という意味づけをしているからです。
by wd (2008-02-24 02:27) 

Judgement

wdさんへ

 うーん、私の思惑とはちょい違いました。もうちょっと理解したいところを説明してみます。

 私が今だ理解していないのは
  実体こそが『情報』そのものであり、それに意味を従属させるのか
  意味を『情報』の主体とし、実体を情報に従属するものとするのか
  実体と意味をセットにして『情報』と呼ぶのか
 という事です。

 例えば、「ランダム文字列」という刺激があったとして、刺激自体は意味を持ちませんが、それにより「”意味を持たないという意味”を持つ」わけですよね。
 この場合、例えば”hajsue”という文字列そのものが「情報」として扱われるのか、「ランダム文字列」というくくりのみを伝達する情報として扱うのか、「”kajsue”はランダム文字列ですよ」という文脈が情報なのかという話です。

 なんか、ますますややこしくなってきたかしら....
 
by Judgement (2008-02-27 23:55) 

wd

哲学的な議論は横に置いておくとして、情報科学での一般的な用法では、実体が「データ」、実体と意味のセットが「情報」です。
たとえば、"hajsue"がという文字列はデータ、これと、たとえば、「英語の辞書に出現しない」という性質をセットにしたものが、情報です。

by wd (2008-02-28 10:18) 

杉山真大

apjさんとこでちょっとしたバトルになっちゃったけど(爆)、研究職や専門職の待遇の低さが「理系冷遇論」として俗耳に受け入れられてしまうって問題もある気がしますね。文系の研究職や専門職も存在し、理系でも一般事務職や管理職になるって例も少なからず存在するのに、研究職や専門職の問題が理系にそのまんま置き換わる。そこへ技術立国とか理科離れとかの国家レベルの大義名分がついちゃうと、体のいい「文系叩き」が出来ますね。

で、そのことを指摘すると、逆に"藁人形論法"だと逆に非難される。文系って文句や不満があっても何も言えないのですかね・・・・・はぁ(嘆息
by 杉山真大 (2008-02-28 22:43) 

Judgement

 いや、哲学的な話がしたいんではなくて...
 私としては「葉が落ちた」がデータで、「秋だ」が意味という位置付けの思惑だったので(意図が上手く伝わらず申し訳ありません)、『「葉が落ちた」がすでに情報』というお話に混乱していました。
 で、「意味を載せたデータ」が『情報』って事で大体良いのでしょうか?
 とすれば
A データに意味を載せて「情報」を作る仕組み
B 意味を反映したデータを構成して「情報」を作る仕組み 
C 「情報」から意味を抽出する仕組み
D 「情報」を伝達する仕組み
E 「情報」を蓄積、あるいは連結する仕組み
 あたりのパターンがあるとして、情報工学、情報科学はどの辺をターゲットにしているのでしょう。 
by Judgement (2008-02-28 22:57) 

Judgement

おっと、前のコメントはwdさん宛てです

 杉山さんはじめまして。
 同じ不満を私も持っていた、というのがこのカテゴリーの発端です。
 目指せ!文系の復権!!
by Judgement (2008-02-28 23:00) 

wd

A〜Eもすべて含めて、とにかく「情報」に関係する科学の総称が「情報科学」です。たぶん、単一の分野ではないでしょう。一世紀後には細かく分かれていることでしょう。

by wd (2008-02-29 03:36) 

Judgement

 うーん
 「とにかくすべて」、と言われてしまうと、私にとっては、情報工学と情報科学の区別や、あるいは情報○○と他の学域の区別すら怪しくなってしまいます。
 理解が足りなくすいません。

 情報○○という特定の体系が作られている、というよりかは、情報という特定のテーマについて各分野の専門家が自由に各自の理論を持ち寄る、といった感じなのでしょうか。
by Judgement (2008-03-03 22:48) 

マークバイマークジェイコブス

研究職や専門職の待遇の低さが「理系冷遇論」として俗耳に受け入れられてしまうって問題もある気がしますね。文系の研究職や専門職も存在し、理系でも一般事務職や管理職になるって例も少なからず存在するのに、研究職や専門職の問題が理系にそのまんま置き換わる。そこへ技術立国とか理科離れとかの国家レベルの大義名分がついちゃうと、体のいい「
by マークバイマークジェイコブス (2011-12-12 18:35) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。