原発事故での死者はいないのか ~kikulog『再起動』考・番外編~ [他ブログいっちょかみ]
さて、『再起動』関連の記事として、今度はコメント欄の発言を対象にしたい。
今回も前回に引き続き、「擬似インタビュー形式」で話を進める。---前回の最後の方の話の続きになりますが、Jadgementさんが『再起動』のコメント欄で「原発事故での死者はいない」みたいな発言があったのを見た、という所から話を始めたいと思います。
---その問題の発言は、『再起動』の記事と繋がりはあるんですか?
うん。菊池さん自身は「死ぬ死ぬ論」を言って「電力不足で死ぬ人」しかカウントしてないけど、もうちょっと頭がまわる人なら「でも、原発事故でも人が死ぬなら、やっぱ考えなくちゃいけないんじゃないの」って分かると思うんだ。
でもそれに気付いた上で、それでも菊池さんの『再起動』を支持し、「死ぬ死ぬ論」のさらなる正当化したいとなると、そこを補足して解釈しなければ、と思うんじゃないのかな。
---それが「原発事故での死者はいない」発言であると。
実例を挙げようね。
以前はここにも来ていたzororiさんはこんな事を言ってる。
これについては突っ込みがちょびっとだけあって、それがこれ。
でも、それに対するzororiさんの反応がまたカチンと来る。
---「それは津波被害者であって、自分が言ってる原発事故の直接的な被害者じゃない」と言いたい雰囲気がありありと見えますね。
まず、最初のコメントで「これだけの被害で済んだ」と結論付けるzororiさんにぜひ聞きたい事があるんだけど、「事故直後の短期間」に直接的な影響による死者が出なければ、「直接的には一人の死者も出さなかった」って結論付けられるんでしょうかね。
例えば、事故後しばらくして、「長期的な影響による死者」が出たとしても、それは『タイムオーバーでノーカウント』なんでしょうか。
そんなルールを勝手に作らないで欲しいんですけど。
---確かに結論付けるには尚早すぎますね。
もう一つ聞きたいのは、「直接的には」ってどういう事なんでしょうか。
まぁ、私も津波に巻き込まれた原発作業員を「原発事故による死者」にカウントするつもりはないけれどさ。どうも、zororiさんの発言を見ると、東海村の事故みたいに「大量被ばくを原因とした急性症状による死」だけが、“原発事故における直接的な死者”みたいな口ぶりよね。
そのあたりは後でじっくり話すけどさ。
---「長期的な影響」は一切考えていない、って事ですよね。
そんなzororiさんよりもひどい事をいった奴がいたのでかすんじゃうけどね。
それがこの「たく」って人の発言。
「死ぬ死ぬ論」を真に受けると、ここまで酷い事を平気でいえるのか、って感じ。
---え!?数年で死者がでる予測は今のところ考えられていないんですか?
確かに、放射線により生涯発症率が高まると言われる「ガン」は症状が明確になるまで10年くらいはかかるけどさ。でも、同様に放射線で生涯発症率が高まると言われる子供の白血病は症状が出るのがガンより早いので、数年で死者がでる予測が無いわけではない。
...ってか、そういう細かいツッコミ入れる以前の話でしょこれ。
何で「考えられていない」んだっつーの!
5月どころか、3月12日の夕方から福島県では多くの人が「死者がでる予測」を考えてまくって怯えていますし、専門家だってその予測を一生懸命考えている。
ただ、今になっても明確な結論が出ていない、ってだけ。
---この人、凄い失敬で的外れなことをさらっと言いますよね。
こいつ自身はそういう事を「考える必要が無い」人なんだろうね。それに、考えられるほどの知識もないと思うんだ。
多分どっかの先生が「そういう予測は考えられない」と言ったのをたまたま聞いただけで「そうなんだ」と判断しちゃってる。
確かにそういう事を言う専門家もいるけど、5月の時点でもそうじゃない事を言う人もいたはずなんだよね。
もちろん、どっちが正しいのか、というのは別の話だけど、少なくとも「考えられていない」と言える状況では無かったはずよ。
---なんで、そんな重要な事を安易に決め付けられるんでしょう?
こいつは「死ぬ死ぬ論」を支持したいがために、福島県民は原発事故で死ぬことにはしたくないし、一方で電力不足で数百人ぐらい死んで欲しいんだよね。
「停電で何百人も死ねば、原発が再起動するから、大手を振って電気がつかえるかもしれない」なんて考えて、節電どころか見えないところでガバガバ電気を浪費してそうじゃない?
---そこまで言いますか。
だってさ、コイツの頭の中ではこの時点で既に、「確実に」電力不足で数百人が死亡する事になってるんだもん。つまり、そのくらいは何が何でも死んで欲しいんでしょ。
「そうならないよう努力しなきゃ」って意識は微塵も見えないよね。
多分、エアコンのガンガンに効いた部屋で、部屋はすっかり冷えたからそろそろ大規模停電でもおこらねーかな、と思ったり、嬉々として熱中症の死者をカウントしてたりしてると思うよ。
---そこまでかはともかく、確かにこの人先走りすぎですね
んでさ、そこまで劣化した発言をしても、論調が菊地さんに合致していれば誰もたしなめない、なんて状況もかなり怖いよね。
まぁ、あまりの酷さにスルーされているだけかもしれないけどさ。
---ちなみに確認ですが、今回は東海村のようなケースは無かったんですよね。
幸いね。
原発作業員の方のでお亡くなりになった方もいますが、それはzororiさんが言うように津波の影響だったり、揺れによる事故が原因だからね。
ただ、建屋に溜まった高線量の水によって被ばくやけどした人がいたし、そもそも初期は被ばく管理のずさんさが指摘されてたり、最近ではミリすら付かないSvの箇所が発見されているから、zororiさんが前提にしたがっている「大量被ばくを原因とした急性症状による死」が今後は出ないとはまだ言えない状況だね。
---「低線量被ばく」つまり一般人の方についてはどうなんでしょう。例えば国際放射線防護委員会の勧告では、「1シーベルトあたりのガンによる死亡の危険率が5 %」って数値が出てますよね。
単純計算すると、政府が打ち出した年間20mSvで危険率が0.1%、つまり1000人に1人がその影響でガンによる死亡をする事になるらしいよ。
この1000人に1人って数値は、なんか「リスクマネジメントの専門家」に吹き込まれた事をそのまま適用したって感じがするんだけどね。
ちなみに、年間1mSvなら、死者は2万人に1人だから、2万人中19人は余計にガンで死ぬって計算ね。
念のために言えば、これは死亡率であって、羅病率じゃないからね。
羅病率になるとその倍ぐらい、つまり500人に1人はそのせいでガンになり、死の恐怖を味わった上で、1/2ぐらいで生き延びるって感じ。
―――ある先生は、1人頭の平均寿命を数日下げるようなものだ、と説明していましたが、そう考えると気にする必要は無さそうですけど。
その表現がおかしいんだよ。
実際には、満遍なく被ばく者の寿命を縮めるのではなく、少数の人間が死ぬんだよね。
1000人全員の寿命を5日だけ下げる、ってのと999人は寿命は変わらないけど誰か1人ぐらいは殺す、っていうのとどっちが怖いと思う?
そういう例えで考えてる限り、現場の人の恐怖はいつまでたっても理解できないよ。
---でも元々、ガンになる確率は高いんだから、気にするほどではないんじゃないですか?
確かに確率的にはね。
私なんかこのご時世に未だに喫煙者だから、その辺は諦めているんだけどさ。
でもさ、逆に考えてみれば、多くの割合の人がガンになる中で、福島の人に限ってはその中の多くの人が「もしかして、あの時被ばくしてなければこうはならなかったかも」って後悔してしまうだろうね。
それは、肯定もできないし、否定もできないけど、気にせずにはいられないから、今後面倒な問題になっていくと思うよ。
---ガンになる確率自体が高いからこそ、そういった精神的な負担の広がりは大きいという一面もある、って事ですね。
あと、もう一つ考えて欲しいのは、「1000人に1人」って聞くと「あり得ない」と思うかもしれないけれど、その環境にさらされる人が、100人とかじゃなくて、おそらく30万人はくだらない、ってコト。
単純計算で、原発事故に伴う放射線の身体的影響で死ぬ人は300人ぐらい見積もる事ができるんだよね。
---数で言うなら、さっきの“たく”さんのコメントにあった「確実に電力不足で数百人が死亡する」に匹敵しちゃいますね。
さらに言えば、これってあくまで空間線量を基準にして計算した目安。
加えてこっちは、原発の作業員みたいに、防護服を着ているわけじゃないから、内部被ばくのリスクも十分高い。
そうなると、300人というのはあくまで最低限で、実際はそれ以上の影響があると考えてもおかしくないんだ。
---なるほど。今死者がいないからって、これから出るって事は理論的には十分現実的な話なんですね。
モチロン、中には「1000mSv以下は影響が無い」という閾値説もある。
こっちとしてももしそうなら有り難いんだけど、それが正しいか否かは前回言ったように、私達を使った人体実験によって明らかになっていく事なんだよね。
あと、さっき年間20mSvで計算したけど、実際はリミットいっぱい浴びる人はあまりいないんじゃないかとも思う。それでも、1μSv/hぐらいはあるからさっき出した数字の1/3ぐらいがより現実に近いかも知れないね。
---いずれにせよ、結果が分かるのは10年後ぐらいなんですよね。
もう一つ付け加えれば、最終的に空間線量から導かれる理論値よりずっと低い死者数である事は十分あり得ると思う。
だけどその時に「なんだ、騒いだ割に結局は大丈夫だったじゃん」とは思わないで欲しいね。
---それは何故でしょう?
それは「放射線の影響が無かったから」ではなく、今の「外出を避けて閉じこもる」というつらい生活と引き換えに得られた成果なのかもしれないから。
「大丈夫」にするために今そういう生活を強いられているのに、その成果を「何もしなくても大丈夫」という結論に繋げられてしまったら、ホント怒るよ。。
---まぁ、ともかくJadgementさんは今後、放射線の影響による死者がでる可能性は十分あるのだから、「原発事故での死者はいない」と先走った判断はするな、という事が言いたいんですね。
いや、それもあるけど、そもそも私は「今死者がいない」にも異を唱えたいんだね。
---あれ、さっきは大量被ばくを原因とした急性症状による死者はいないとおっしゃりましたよね。
だから、なんでzororiさんみたいに、「原発事故による死」を放射線の身体的影響に限定しようとしちゃうのよ。
例えば、前回少し触れたけど、自分の農場にセシウムばら撒かれて、牛も野菜も売れない、住み慣れた土地も離れなきゃいけない、先は全く分からない、という状況に「原発事故」のせいで強制的に追い込まれて自殺した、ってのは「原発事故による死」じゃないの?
---いや... 原発が直接手を下したわけじゃないような...でも...
菊池さんは「経済が悪化して死者が出る」というのを、「電力不足により予測される被害」にカウントしているよね。
それに納得する人なら、これは「原発事故による死」とカウントすべきよ。
むしろ、菊池さんの風が吹けば的な関連付けよりも、こっちは放射性物質が直接の引き金になっているんだから何倍も「直接的な影響」と言えるはずよ。
---確かに、例えば原発じゃなくて、火力発電所だったら無かった自殺ですよね。
だいたい、その方は原発の40kmも先に住んでる人なのよ。そんな遠くの人間まで自殺に追い込んでいるんだから。
もっと言えば、地震でも津波でも被害を受けなかった大量の人間が住む土地を追われ、不自由な生活を長期間余儀なくされている、という状況はかなり悲惨だし確実に寿命縮めてるよね。
それを「これだけの被害で済んだ」と言うzororiさんは、いったいどれだけの被害があればちゃんと目を向けてくれるんだ、という感じ。
---まぁ、実情を知っていれば言えない発言ですし、よく知らないで言っていい発言でもないですね。
言いたいのは、その自殺の件だけじゃないんだ。
というか、全国が福島原発に注目してた、その初期の段階に発生した事件が無視されているのが一番悲しいんだよ。
それは、原発の4km圏内にある病院の出来事なんだけど、原発の爆発によって病院職員が90人の患者さんを残して避難しちゃったんだ。
3日後にようやく自衛隊が救出に行ったんだけど、その間患者さんは絶食状態。だから衰弱が激しくて、搬送中や搬送先で6名がお亡くなりになった。
その前に避難できた患者さんだって、急な搬送の影響もあってお亡くなりになった人が相次いで、最終的に45名がお亡くなりになってしまったの。
---そういえば、バスとタンカと泣いている看護婦さんの映像を見た気が...
これらの方々は被爆で亡くなったわけではないよ。
でも、津波や地震で亡くなったわけでもないんだ。
原発事故だったからこそ、必然的に亡くなったと言っていいと思う。
地震で電気と水道が止まったから、“原発事故が無くても”亡くなっていまう方が出たかもしれないけど、それを言ったら、“原発事故さえ無ければ”業者が急行して優先的にライフラインを復旧できたかもしれないし、付近住民の協力も得られたかもしれないよね。
でも、その希望を断ち切ったのは原発の爆発とそれによる避難勧告なんだ。
---それがなければ、職員関係者が見捨てて避難したりはしなかったでしょうね
あの状況での病院職員の行動は非難できないと思うんだ。
目と鼻の先にある原発が爆発したら、逃げるのは仕方が無いよ。
原発だからこそ、より深刻な事態になれば4kmなんて一瞬でダメにできる範囲だもの。
食べ物も無いまま放置された人や、安静が必要なのに急いで動かされた人はホントに可哀想。でも、どうすればよかったのか、なんて正解は無いだろうね。
---そして、体が弱い方から亡くなってしまったんですね...。
これでも、「現実に原発事故で死んだ人はいない」なんて言える?
私は、このニュースを知った時、ホントせつなくなったよ。
で、詳細を知って、もっとせつなくなった。
さすがにこのニュースは全国で流れたと思うよ。
そんなショッキングな事件があったのに、平気で「原発事故で死んだ人はいない」なんて言う奴がいるのが信じられない。
---一番注目を浴びている初期の事件だから聞いてない可能性は低いでしょうが、私のように「覚えていない」のが大多数なんでしょうね。
それも仕方ないけど、だったら「死んだ人はいない」って言う前に調べなさいよ。
そもそも、「原発事故による死」って何なのか真剣に考えなさいよ。
被ばくによる身体への直接的な影響以外、原発事故で死んだ事にはならない、なんて誰か決めたの?
そんな奴をほっておけば今度はガンで死ぬ人が増え始めても「原発事故の放射能のせいとは限らない」とか言い出しそうで、腹が立つんだよ。
---だからこそ、今もう一度この事件を紹介したかったんですね。
ちなみに、丁度最近なんだけど、こんな投書が福島の地方新聞の読者の声のコーナーに載ったの。
---あれ、この人ってもしかして“たく”さんですか?
そんなわけはないと思うんだけどね。
伏せたけど、女性っぽい名前だったし。
ま、これもなんか変な感じがするんだけどね。
何で横浜の人間が福島の地方紙に投稿するのかが第一の謎。
わざわざ福島の地方紙に投稿するのに、内容が福島とあまり関係無いのが第二の謎。
そして、福島の地方紙なのに、こんな県民の気持ちを逆撫でするような県外者の投書をわざわざ掲載するのが第三の謎。
---なんか、色々と邪(よこしま)なものを感じますね。
まぁ、そこを勘ぐっても仕方ないので、それは置いておいておくけど、この人の気持ちも分からないでもないんだよ。
彼女にとって、年齢的にも節電がつらくて「明日は我が身」なわけだから。
---失礼な事言いますね。
いいのよ、この人だって十分失礼な事言っているんだから。
だけど、そこで「私が困るから再起動してくれ」と言ってくれたほうが、「ま、彼女にとっても死活問題だからな」と受け入れられないわけではないんだよ。
でもわざわざ「国民」なんて大仰な視点持ち出して自分を大きく見せようとするから、その正当化のために「福島原発事故で亡くなった人はいない」なんて言わんでもいいウソを言っちゃうんだと思う。
てか、「死ななくてもいいのに国民が死ぬ」っていう『国民』の中には、原発周辺地域の人間入らないの?それともそういう人達は非国民なの?とツッコミたくなるね。
---この人の発言も「kikulogの『再起動』」の影響なんでしょうか。
いや~、さすがにそれは無さそうだけどね。分かんないけど。
でも、むしろ「kikulogの影響じゃない」と言う方が私にとっては怖い。
それはつまり、「福島原発事故で亡くなった人はいない」という事が福島県外の人のスタンダードな認識なのかもしれない可能性を示唆するからね。
それは本当に悔しい話。
---福島の事実が、その外側の人には無かった事になっている、というのは非常に怖いですよね。
県民の私達に訪れるかもしれない確率的な死も、放射性物質のせいで選ばされた死も、爆発に翻弄された弱者の死も、まるで無い事になって、「原発で死んだ人はいない」とか言っているのを聞くとさ、この今の福島の悲しい状況は、他の地域の人に何の教訓も与えていないのだろうか、と疑問に思っちゃうんだよね(涙)
---福島を話の枕にするなら、もっとちゃんと現実を知ってもらいたいですよね。
その現実を知った上で、「それでも生贄が必要だ」と言うならそれはそれでいいんだよ。腹が立つけどね。
でも、「現実に原発事故で死んだ人はいない」という、『ウソ』の情報をさも事実であるかのように喧伝してまで、「弱者を気にかける自分」を演出するのは、ホントやめて欲しい。
---最後に何か。
福島をネタにするなとは言わないけれど、ネタにするのなら思い込みじゃなくて、もう少し「現実」を知ってからにしてよね。
「福島」を「フクシマ」と呼ばないとか、そんな上っ面な話で自己アピールする暇があるんなら、まずそこをちゃんとして欲しい。以上。
今回も前回に引き続き、「擬似インタビュー形式」で話を進める。---前回の最後の方の話の続きになりますが、Jadgementさんが『再起動』のコメント欄で「原発事故での死者はいない」みたいな発言があったのを見た、という所から話を始めたいと思います。
---その問題の発言は、『再起動』の記事と繋がりはあるんですか?
うん。菊池さん自身は「死ぬ死ぬ論」を言って「電力不足で死ぬ人」しかカウントしてないけど、もうちょっと頭がまわる人なら「でも、原発事故でも人が死ぬなら、やっぱ考えなくちゃいけないんじゃないの」って分かると思うんだ。
でもそれに気付いた上で、それでも菊池さんの『再起動』を支持し、「死ぬ死ぬ論」のさらなる正当化したいとなると、そこを補足して解釈しなければ、と思うんじゃないのかな。
---それが「原発事故での死者はいない」発言であると。
実例を挙げようね。
以前はここにも来ていたzororiさんはこんな事を言ってる。
109. zorori — May 13, 2011 @21:54:23
地域ごと壊滅するような大災害にもかかわらず,直接的には一人の死者も出さずこれだけの被害で済んだというのは驚くべきことです。
これについては突っ込みがちょびっとだけあって、それがこれ。
110. ごんべえ — May 13, 2011 @22:25:22
「直接的には一人の死者も出さず」ってどういうこと?少なくとも3人亡くなっていると報道されていますが?
でも、それに対するzororiさんの反応がまたカチンと来る。
128. zorori — May 14, 2011 @07:50:29
すみません、その通りでした。訂正します。
確か、3月の地震発生直後から行方不明者は報道されていて、後日、遺体が発見されたのでした。津波被害者ですね。
---「それは津波被害者であって、自分が言ってる原発事故の直接的な被害者じゃない」と言いたい雰囲気がありありと見えますね。
まず、最初のコメントで「これだけの被害で済んだ」と結論付けるzororiさんにぜひ聞きたい事があるんだけど、「事故直後の短期間」に直接的な影響による死者が出なければ、「直接的には一人の死者も出さなかった」って結論付けられるんでしょうかね。
例えば、事故後しばらくして、「長期的な影響による死者」が出たとしても、それは『タイムオーバーでノーカウント』なんでしょうか。
そんなルールを勝手に作らないで欲しいんですけど。
---確かに結論付けるには尚早すぎますね。
もう一つ聞きたいのは、「直接的には」ってどういう事なんでしょうか。
まぁ、私も津波に巻き込まれた原発作業員を「原発事故による死者」にカウントするつもりはないけれどさ。どうも、zororiさんの発言を見ると、東海村の事故みたいに「大量被ばくを原因とした急性症状による死」だけが、“原発事故における直接的な死者”みたいな口ぶりよね。
そのあたりは後でじっくり話すけどさ。
---「長期的な影響」は一切考えていない、って事ですよね。
そんなzororiさんよりもひどい事をいった奴がいたのでかすんじゃうけどね。
それがこの「たく」って人の発言。
「死ぬ死ぬ論」を真に受けると、ここまで酷い事を平気でいえるのか、って感じ。
121. たく — May 14, 2011 @02:30:24
しかし現実に原発で死んだ人はいないし数年で死者がでる予測は今のところ考えられていない、一方で夏には確実に電力不足で数百人が死亡する。
---え!?数年で死者がでる予測は今のところ考えられていないんですか?
確かに、放射線により生涯発症率が高まると言われる「ガン」は症状が明確になるまで10年くらいはかかるけどさ。でも、同様に放射線で生涯発症率が高まると言われる子供の白血病は症状が出るのがガンより早いので、数年で死者がでる予測が無いわけではない。
...ってか、そういう細かいツッコミ入れる以前の話でしょこれ。
何で「考えられていない」んだっつーの!
5月どころか、3月12日の夕方から福島県では多くの人が「死者がでる予測」を考えてまくって怯えていますし、専門家だってその予測を一生懸命考えている。
ただ、今になっても明確な結論が出ていない、ってだけ。
---この人、凄い失敬で的外れなことをさらっと言いますよね。
こいつ自身はそういう事を「考える必要が無い」人なんだろうね。それに、考えられるほどの知識もないと思うんだ。
多分どっかの先生が「そういう予測は考えられない」と言ったのをたまたま聞いただけで「そうなんだ」と判断しちゃってる。
確かにそういう事を言う専門家もいるけど、5月の時点でもそうじゃない事を言う人もいたはずなんだよね。
もちろん、どっちが正しいのか、というのは別の話だけど、少なくとも「考えられていない」と言える状況では無かったはずよ。
---なんで、そんな重要な事を安易に決め付けられるんでしょう?
こいつは「死ぬ死ぬ論」を支持したいがために、福島県民は原発事故で死ぬことにはしたくないし、一方で電力不足で数百人ぐらい死んで欲しいんだよね。
「停電で何百人も死ねば、原発が再起動するから、大手を振って電気がつかえるかもしれない」なんて考えて、節電どころか見えないところでガバガバ電気を浪費してそうじゃない?
---そこまで言いますか。
だってさ、コイツの頭の中ではこの時点で既に、「確実に」電力不足で数百人が死亡する事になってるんだもん。つまり、そのくらいは何が何でも死んで欲しいんでしょ。
「そうならないよう努力しなきゃ」って意識は微塵も見えないよね。
多分、エアコンのガンガンに効いた部屋で、部屋はすっかり冷えたからそろそろ大規模停電でもおこらねーかな、と思ったり、嬉々として熱中症の死者をカウントしてたりしてると思うよ。
---そこまでかはともかく、確かにこの人先走りすぎですね
んでさ、そこまで劣化した発言をしても、論調が菊地さんに合致していれば誰もたしなめない、なんて状況もかなり怖いよね。
まぁ、あまりの酷さにスルーされているだけかもしれないけどさ。
---ちなみに確認ですが、今回は東海村のようなケースは無かったんですよね。
幸いね。
原発作業員の方のでお亡くなりになった方もいますが、それはzororiさんが言うように津波の影響だったり、揺れによる事故が原因だからね。
ただ、建屋に溜まった高線量の水によって被ばくやけどした人がいたし、そもそも初期は被ばく管理のずさんさが指摘されてたり、最近ではミリすら付かないSvの箇所が発見されているから、zororiさんが前提にしたがっている「大量被ばくを原因とした急性症状による死」が今後は出ないとはまだ言えない状況だね。
---「低線量被ばく」つまり一般人の方についてはどうなんでしょう。例えば国際放射線防護委員会の勧告では、「1シーベルトあたりのガンによる死亡の危険率が5 %」って数値が出てますよね。
単純計算すると、政府が打ち出した年間20mSvで危険率が0.1%、つまり1000人に1人がその影響でガンによる死亡をする事になるらしいよ。
この1000人に1人って数値は、なんか「リスクマネジメントの専門家」に吹き込まれた事をそのまま適用したって感じがするんだけどね。
ちなみに、年間1mSvなら、死者は2万人に1人だから、2万人中19人は余計にガンで死ぬって計算ね。
念のために言えば、これは死亡率であって、羅病率じゃないからね。
羅病率になるとその倍ぐらい、つまり500人に1人はそのせいでガンになり、死の恐怖を味わった上で、1/2ぐらいで生き延びるって感じ。
―――ある先生は、1人頭の平均寿命を数日下げるようなものだ、と説明していましたが、そう考えると気にする必要は無さそうですけど。
その表現がおかしいんだよ。
実際には、満遍なく被ばく者の寿命を縮めるのではなく、少数の人間が死ぬんだよね。
1000人全員の寿命を5日だけ下げる、ってのと999人は寿命は変わらないけど誰か1人ぐらいは殺す、っていうのとどっちが怖いと思う?
そういう例えで考えてる限り、現場の人の恐怖はいつまでたっても理解できないよ。
---でも元々、ガンになる確率は高いんだから、気にするほどではないんじゃないですか?
確かに確率的にはね。
私なんかこのご時世に未だに喫煙者だから、その辺は諦めているんだけどさ。
でもさ、逆に考えてみれば、多くの割合の人がガンになる中で、福島の人に限ってはその中の多くの人が「もしかして、あの時被ばくしてなければこうはならなかったかも」って後悔してしまうだろうね。
それは、肯定もできないし、否定もできないけど、気にせずにはいられないから、今後面倒な問題になっていくと思うよ。
---ガンになる確率自体が高いからこそ、そういった精神的な負担の広がりは大きいという一面もある、って事ですね。
あと、もう一つ考えて欲しいのは、「1000人に1人」って聞くと「あり得ない」と思うかもしれないけれど、その環境にさらされる人が、100人とかじゃなくて、おそらく30万人はくだらない、ってコト。
単純計算で、原発事故に伴う放射線の身体的影響で死ぬ人は300人ぐらい見積もる事ができるんだよね。
---数で言うなら、さっきの“たく”さんのコメントにあった「確実に電力不足で数百人が死亡する」に匹敵しちゃいますね。
さらに言えば、これってあくまで空間線量を基準にして計算した目安。
加えてこっちは、原発の作業員みたいに、防護服を着ているわけじゃないから、内部被ばくのリスクも十分高い。
そうなると、300人というのはあくまで最低限で、実際はそれ以上の影響があると考えてもおかしくないんだ。
---なるほど。今死者がいないからって、これから出るって事は理論的には十分現実的な話なんですね。
モチロン、中には「1000mSv以下は影響が無い」という閾値説もある。
こっちとしてももしそうなら有り難いんだけど、それが正しいか否かは前回言ったように、私達を使った人体実験によって明らかになっていく事なんだよね。
あと、さっき年間20mSvで計算したけど、実際はリミットいっぱい浴びる人はあまりいないんじゃないかとも思う。それでも、1μSv/hぐらいはあるからさっき出した数字の1/3ぐらいがより現実に近いかも知れないね。
---いずれにせよ、結果が分かるのは10年後ぐらいなんですよね。
もう一つ付け加えれば、最終的に空間線量から導かれる理論値よりずっと低い死者数である事は十分あり得ると思う。
だけどその時に「なんだ、騒いだ割に結局は大丈夫だったじゃん」とは思わないで欲しいね。
---それは何故でしょう?
それは「放射線の影響が無かったから」ではなく、今の「外出を避けて閉じこもる」というつらい生活と引き換えに得られた成果なのかもしれないから。
「大丈夫」にするために今そういう生活を強いられているのに、その成果を「何もしなくても大丈夫」という結論に繋げられてしまったら、ホント怒るよ。。
---まぁ、ともかくJadgementさんは今後、放射線の影響による死者がでる可能性は十分あるのだから、「原発事故での死者はいない」と先走った判断はするな、という事が言いたいんですね。
いや、それもあるけど、そもそも私は「今死者がいない」にも異を唱えたいんだね。
---あれ、さっきは大量被ばくを原因とした急性症状による死者はいないとおっしゃりましたよね。
だから、なんでzororiさんみたいに、「原発事故による死」を放射線の身体的影響に限定しようとしちゃうのよ。
例えば、前回少し触れたけど、自分の農場にセシウムばら撒かれて、牛も野菜も売れない、住み慣れた土地も離れなきゃいけない、先は全く分からない、という状況に「原発事故」のせいで強制的に追い込まれて自殺した、ってのは「原発事故による死」じゃないの?
---いや... 原発が直接手を下したわけじゃないような...でも...
菊池さんは「経済が悪化して死者が出る」というのを、「電力不足により予測される被害」にカウントしているよね。
それに納得する人なら、これは「原発事故による死」とカウントすべきよ。
むしろ、菊池さんの風が吹けば的な関連付けよりも、こっちは放射性物質が直接の引き金になっているんだから何倍も「直接的な影響」と言えるはずよ。
---確かに、例えば原発じゃなくて、火力発電所だったら無かった自殺ですよね。
だいたい、その方は原発の40kmも先に住んでる人なのよ。そんな遠くの人間まで自殺に追い込んでいるんだから。
もっと言えば、地震でも津波でも被害を受けなかった大量の人間が住む土地を追われ、不自由な生活を長期間余儀なくされている、という状況はかなり悲惨だし確実に寿命縮めてるよね。
それを「これだけの被害で済んだ」と言うzororiさんは、いったいどれだけの被害があればちゃんと目を向けてくれるんだ、という感じ。
---まぁ、実情を知っていれば言えない発言ですし、よく知らないで言っていい発言でもないですね。
言いたいのは、その自殺の件だけじゃないんだ。
というか、全国が福島原発に注目してた、その初期の段階に発生した事件が無視されているのが一番悲しいんだよ。
それは、原発の4km圏内にある病院の出来事なんだけど、原発の爆発によって病院職員が90人の患者さんを残して避難しちゃったんだ。
3日後にようやく自衛隊が救出に行ったんだけど、その間患者さんは絶食状態。だから衰弱が激しくて、搬送中や搬送先で6名がお亡くなりになった。
その前に避難できた患者さんだって、急な搬送の影響もあってお亡くなりになった人が相次いで、最終的に45名がお亡くなりになってしまったの。
---そういえば、バスとタンカと泣いている看護婦さんの映像を見た気が...
これらの方々は被爆で亡くなったわけではないよ。
でも、津波や地震で亡くなったわけでもないんだ。
原発事故だったからこそ、必然的に亡くなったと言っていいと思う。
地震で電気と水道が止まったから、“原発事故が無くても”亡くなっていまう方が出たかもしれないけど、それを言ったら、“原発事故さえ無ければ”業者が急行して優先的にライフラインを復旧できたかもしれないし、付近住民の協力も得られたかもしれないよね。
でも、その希望を断ち切ったのは原発の爆発とそれによる避難勧告なんだ。
---それがなければ、職員関係者が見捨てて避難したりはしなかったでしょうね
あの状況での病院職員の行動は非難できないと思うんだ。
目と鼻の先にある原発が爆発したら、逃げるのは仕方が無いよ。
原発だからこそ、より深刻な事態になれば4kmなんて一瞬でダメにできる範囲だもの。
食べ物も無いまま放置された人や、安静が必要なのに急いで動かされた人はホントに可哀想。でも、どうすればよかったのか、なんて正解は無いだろうね。
---そして、体が弱い方から亡くなってしまったんですね...。
これでも、「現実に原発事故で死んだ人はいない」なんて言える?
私は、このニュースを知った時、ホントせつなくなったよ。
で、詳細を知って、もっとせつなくなった。
さすがにこのニュースは全国で流れたと思うよ。
そんなショッキングな事件があったのに、平気で「原発事故で死んだ人はいない」なんて言う奴がいるのが信じられない。
---一番注目を浴びている初期の事件だから聞いてない可能性は低いでしょうが、私のように「覚えていない」のが大多数なんでしょうね。
それも仕方ないけど、だったら「死んだ人はいない」って言う前に調べなさいよ。
そもそも、「原発事故による死」って何なのか真剣に考えなさいよ。
被ばくによる身体への直接的な影響以外、原発事故で死んだ事にはならない、なんて誰か決めたの?
そんな奴をほっておけば今度はガンで死ぬ人が増え始めても「原発事故の放射能のせいとは限らない」とか言い出しそうで、腹が立つんだよ。
---だからこそ、今もう一度この事件を紹介したかったんですね。
ちなみに、丁度最近なんだけど、こんな投書が福島の地方新聞の読者の声のコーナーに載ったの。
脱原発いいのか/政府の対応疑問 横浜市・○○○(無職 60)
阪神・淡路大震災の時、空からの消火活動を早期に着手していれば、被害をもう少し減らすことができたといわれている。地震で亡くなった人よりも、その後に発生した火災で亡くなった人の方が多かったからだ。
また、福島原発事故で亡くなった人はいないのに、原発を止めたことによる電力不足によって、熱中症で亡くなる人が増えているという。
これは政府の対応が間違っているからだと思う。「脱原発」は原発事故直後だけに、国民から支持されている。しかし、脱原発後のエネルギー問題はどうするつもりなのか。
(中略)
「脱原発」は心情的には理解できるが、国策と政府の対応が間違うと、死ななくてもいいのに国民が死ぬことになるのだ。
---あれ、この人ってもしかして“たく”さんですか?
そんなわけはないと思うんだけどね。
伏せたけど、女性っぽい名前だったし。
ま、これもなんか変な感じがするんだけどね。
何で横浜の人間が福島の地方紙に投稿するのかが第一の謎。
わざわざ福島の地方紙に投稿するのに、内容が福島とあまり関係無いのが第二の謎。
そして、福島の地方紙なのに、こんな県民の気持ちを逆撫でするような県外者の投書をわざわざ掲載するのが第三の謎。
---なんか、色々と邪(よこしま)なものを感じますね。
まぁ、そこを勘ぐっても仕方ないので、それは置いておいておくけど、この人の気持ちも分からないでもないんだよ。
彼女にとって、年齢的にも節電がつらくて「明日は我が身」なわけだから。
---失礼な事言いますね。
いいのよ、この人だって十分失礼な事言っているんだから。
だけど、そこで「私が困るから再起動してくれ」と言ってくれたほうが、「ま、彼女にとっても死活問題だからな」と受け入れられないわけではないんだよ。
でもわざわざ「国民」なんて大仰な視点持ち出して自分を大きく見せようとするから、その正当化のために「福島原発事故で亡くなった人はいない」なんて言わんでもいいウソを言っちゃうんだと思う。
てか、「死ななくてもいいのに国民が死ぬ」っていう『国民』の中には、原発周辺地域の人間入らないの?それともそういう人達は非国民なの?とツッコミたくなるね。
---この人の発言も「kikulogの『再起動』」の影響なんでしょうか。
いや~、さすがにそれは無さそうだけどね。分かんないけど。
でも、むしろ「kikulogの影響じゃない」と言う方が私にとっては怖い。
それはつまり、「福島原発事故で亡くなった人はいない」という事が福島県外の人のスタンダードな認識なのかもしれない可能性を示唆するからね。
それは本当に悔しい話。
---福島の事実が、その外側の人には無かった事になっている、というのは非常に怖いですよね。
県民の私達に訪れるかもしれない確率的な死も、放射性物質のせいで選ばされた死も、爆発に翻弄された弱者の死も、まるで無い事になって、「原発で死んだ人はいない」とか言っているのを聞くとさ、この今の福島の悲しい状況は、他の地域の人に何の教訓も与えていないのだろうか、と疑問に思っちゃうんだよね(涙)
---福島を話の枕にするなら、もっとちゃんと現実を知ってもらいたいですよね。
その現実を知った上で、「それでも生贄が必要だ」と言うならそれはそれでいいんだよ。腹が立つけどね。
でも、「現実に原発事故で死んだ人はいない」という、『ウソ』の情報をさも事実であるかのように喧伝してまで、「弱者を気にかける自分」を演出するのは、ホントやめて欲しい。
---最後に何か。
福島をネタにするなとは言わないけれど、ネタにするのなら思い込みじゃなくて、もう少し「現実」を知ってからにしてよね。
「福島」を「フクシマ」と呼ばないとか、そんな上っ面な話で自己アピールする暇があるんなら、まずそこをちゃんとして欲しい。以上。
お久しぶりです。相変わらずのわかりやすさと説得力に富む文章、舌鋒の鋭さを目にして、その点だけはホッとしています。
私は基本的にきくちさん、およびきくちさんが提唱するニセ科学批判に賛同、しかしその周辺に集う人たちのかなりの部分に見られる「ニセ科学的側面」には批判的(これはJudgementさんに影響された部分大)というスタンスなのですが、今回のきくちさんに関しては最初から違う見方をせざるを得ないという印象でした。
それと、ニセ科学批判においては「科学的かどうか」が基本になるわけですが、科学的側面以外にこれ程複雑に個人の価値観、政治的心情、社会的状況(特に今回の原発事故で被害をこうむったかどうか、また原発のある地域周辺に住んでいるかどうかなど)、希望・願望などが絡み合う問題で、かなりの常連さんたちがきくちさんの価値観に右へ倣えしているのが驚きでした。特に目立ったのが、被害をこうむった人たちの視点に基づく議論がほとんど見られないことでした(ごく一部異議を唱えた人たちがいますが、レスがつかず議論になっていない)。
一応、放射線の環境影響・健康影響の問題は、将来にわたっての予測も含め、科学的側面と言えると思いますが、それとても、影響大とする見方に対しては相当厳しく、小とする見方には非常に甘いという印象を強く抱きました。この種の議論では、明らかに非科学的といえるレベルの楽観論・悲観論のみを排除して、両者の中間は広く取って丁寧に吟味するというのが大切と思うのですが、希望・願望で歪められたとしか思えないような議論が見られました。
一例ですが、水蒸気爆発初期のFiskerさんと技術開発者さん(おなじみの)の影響予測は私には理解できないような楽観論でした。このFiskerさんは原発での死者の少なさ論をぶっていた人でもあります(他にも交通事故死者との比較からの擁護論を展開していた人あり)。
私は、死者の数では決して評価できない、原発事故に特異的な、多方面にわたる影響の凄惨さについての議論が特に重要と思いますが、そういう意見はごく一部の方からしか出てこず、また議論にまで発展してはいなかったですね。
蛇足ですが、ニセ科学の定義を勉強してこいと、常に相手に要求することで知られていた常連氏が、野呂美加さん関係のエントリーでも似たような芸風を発揮しておられ面白かったです。党派的に結束する(本人がそのように意識しているかどうかとは別として)というのはある種の達成感を生むことなのかもしれませんが、技術開発者さんにしろ、この方にしろ、そこからはみだしたところにこそ本来の姿が反映されるということなのかな(当たり前か)。
by necromancer (2011-08-31 12:12)
菊池さんはこっちでは甲状腺の放射線治療を決定的な反論とかいって鼻血や下痢を否定してたはずですが、
http://togetter.com/li/149654
kikulogのかけはし批判ではまったく触れてませんね。
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1314034425
実際には放射線治療と事故被曝を同列に比べるのはトンデモなんですが、そういうまちがいを広くばら撒いておいて、訂正もなし。
そういう人ということですね。
by 丸八 (2011-09-03 18:26)