SSブログ

猫がするな・・・獅子のフリを [ABO FAN Blog]

一見相手の主張を否定しているように見えるが、よく読むと何も肝心な事を否定できていない。
ABO FAN Blogのこの記事はその分かりやすい典型ですね。


【最初にまとめ】

取り上げたページに使用されている“ABOFAN論法”の典型は下記のとおり。

《二分法パターン》
 ◎『AはBである。』という主張に対する反論
 Ⅰ Aにはa1とa2がある。
 Ⅱ 主張者の言うAはa2であり、a1ではない。
 Ⅲ a1ならばBかもしれないが、a2であればBではない。

<このパターンの本質的な問題点>
 ・ 文脈上a1とa2に分けて考える必然性があるか考慮が足りない
 ・ 「a2であればBでない」理由が述べられない
 
 上記の論法は「A=a2である」という自分の判断を示したにすぎない。
 仮に「A=a2である」としても、肝心なのは「a2ならばBでない」理由である。
 これが無ければ「AはBである。」を否定した事にはならないし、「Aをa1とa2に分ける」意味すらない。
 ※ しかし、“ABOFAN論法”では大抵そこまで言及しない。


【事例1】

<吉田氏の記述>
『“検定における帰無仮説は”母集団における2つの条件の平均値の差は(ぴったり)Oである”ですが,この”0”という差の値は連続線上に無限に存在する値の中の1点でしかなく、母集団における平均値の差がちょうどこの値になる確率は1/∞で0になるからです。』

<ABOFAN氏の記述>
『はぁ、これは明らかにおかしいです。なぜなら、心理学で扱うデータは、「連続線上に無限に存在する値の中の1点」じゃないからです。心理学のデータは、普通は「離散値」(有理数)ですから「連続線上に無限に存在する値の中の1点」ではありません。正しくは、「連続線上にスカスカに無限に存在する値の中の1点」です。』


吉田氏の主張をまとめると
1 ”0”という差の値は連続線上に無限に存在する値の中の1点でしかない
2 だから差がちょうどこの値になる確率は1/∞で0ある。
となる。これを否定するには、1か2のどちらかを否定しなくてはならない。
しかし、2の方は数学の約束事であるから、まず否定できない。
となれば、1における「無限」を否定するしかないと思うのだけれど...。


なんとABOFAN氏は「無限」を否定しません。
ABOFAN氏の主張を先の《二分法パターン》でまとめてみましょう

Ⅰ 無限にはアレフ0とアレフ1がある。
Ⅱ 心理学のデータはアレフ0であり、アレフ1ではない。
Ⅲ (無し)

 なんと、3段目すらなく、「だから何?」としか言えない主張である。
 単に、「“アレフ”という概念を知っているんだよ」というひけらかしに過ぎないのでは。

 というか、読んでいるだけでクラクラする。
 「連続線上にスカスカに無限に存在する値の中の1点」は
 「連続線上に無限に存在する値の中の1点」では無い?
 
 「黒いカラスはカラスではない」という詭弁を思い出させます。
 意図はともかく、文章として“非常におかしな事”を言っている事に気付かないのでしょうか?

 彼は結局、吉田氏の説明の軸である「”0”という差の値は連続線上に無限に存在する値の中の1点でしかなく、母集団における平均値の差がちょうどこの値になる確率は1/∞で0になる」事を否定できていません。
 別に∞が有理数の密度だろうが、連続線上に無限に点が並ぶなら、やっぱり1/∞=0なのだから。
 (ホント、この程度の事すら理解できていないとは....)

「主張者の言うAは違う」、と一見反論のように聞こえますが、よくよく調べると
「主張者の言うAは(ABOFAN氏の持ち出したa1とは)違う」
と言っているだけで、
「主張者の言うAは(Bではない点で)違う」という反論は成立していないのですよね。

何故、吉田氏の主張を否定できないのにアレフの概念を持ち出したのか?
その理由は、ABOFAN氏しか知らないでしょうが、単に
『何でもいいから否定形の文章を書かなくては』
という歪んだ欲求にとらわれて、他に何も見えなくなっているのではないかと思う。

つまり
「明確な否定の根拠があるから」→「否定する」のではなく
「否定したいから」→「何か根拠を探す」、と最初に結論があって焦っているから
『否定の材料として妥当でない』ものでも、早とちりして使ってしまうのではないでしょうかね。


【事例2】

<吉田氏の記述>
『母集団における平均値の差がちょうどこの値になる確率は1/∞で0になるからです。他の例をあげると,日本人の男性全体でのある政党に対する支持率と女性全体での支持率が0.00…1も違わずにぴったり同じになることは皆無に等しいはずです。』

<ABOFAN氏の記述>
『前者は、無限母集団なら成り立ちますが、それなら「無限母集団」と書いた方が親切です。まあ、これは必ずしも間違いとは言えません。しかし、「日本人の男性全体でのある政党に対する支持率」は明らかに有限母集団です。有限母集団なら、ゼロじゃないだろ!と憤慨して読むと「ぴったり同じになることは皆無に等しいはずです」とあります。もう、こうなると漫才を読んでいるようです。普通の日本語だって「皆無に等しい」はゼロじゃありませんってば!』


同様にABOFAN氏の主張を《二分法パターン》でまとめましょう

Ⅰ 母集団は有限母集団と無限母集団がある。
Ⅱ 主張者の言う母集団は有限母集団である。
Ⅲ 無限母集団なら確率が1/∞かもしれないが、有限母集団ならゼロじゃない。

 今度は3段目がありますが、肝心の「何故有限母集団ならゼロじゃない」の“理由”がありません。
 結局「だから何で?」としか言えない主張です。

 おまけに、勝手に墓穴を掘っているのですが、「無限母集団なら確率が1/∞が成立つ」の理由もぜひ聞きたい。
 無限母集団なるものがあるとして、「平均値の差」という概念がそもそも当てはまるのでしょうか?
 差が存在する、というのであれば、当然「無限母集団の平均」は算出可能でなくてはなりません。

 では、無限母集団における各値の合計は?当然∞
 その無限母集団におけるnの値は?当然∞
 では、無限母集団の平均は...∞/∞!?
 
 さて、「算出不可能なもの」どうしを比較して差が求められるのでしょうか?
 そもそも求められない差について、0になる確率が1/∞の式で求められるの???

 ぜひとも、他人を勝手に「幾何・解析・代数の勉強不足」のように評価するABOFAN氏に
 明確に、数学的に説明してほしいわぁ

 結局、「無限母集団なら”確率が1/∞”が成り立つ」というのも蛇足だし、肝心の「有限母集団ならゼロじゃない」の根拠も示されません。

 こう言うのを何と言うかというと
 「ただそう思ったからそう書いただけのもの」
 にすぎないでしょう。

 まぁ、言論の自由とやらで、どんな突飛な思い付きをしゃべろうとかまいませんが
 そんなのは「小学生の読書感想文レベル」であり、少なくとも「人に説明するための文章」ではないのよねぇ。


【はしゃぎすぎ】

 かように、満足な反論ひとつできてないくせに、彼は大はしゃぎです
 この身の丈にそぐわない大仰な記述に、なんかこっちが赤面してしまいます

 『え~、そうなの? そんなの初耳、と思って読み進めると、なんと!』
  無知を堂々とばらしています...

 『はぁ、これは明らかにおかしいです。』
  その「明らかなおかしさ」なるものが全く明らかにされないとはどういう事だろう?

 『著者の吉田さんって、何者? 幾何・解析・代数はちゃんと勉強しました?』
  前記の文章を見る限り、ABOFAN氏の方こそ数学(特に無限の扱い)弱そうですね。
  あと「論理学」も弱そう。そんな人がこんな事いっちゃぁね...

 『思わずちょっと待って!と言いたくなります。』
  それは単にあなたの理解と知識不足です。
  むしろ、あなたが「ちょっと待って」と思い、否定したくなっても
  そこをちょっと待ってちゃんと熟読する事をオススメします。

 『有限母集団なら、ゼロじゃないだろ!と憤慨して読むと』
  憤慨するほど否定しているのに、その理由が全く出てこないのは何故?

 『もう、こうなると漫才を読んでいるようです。』
  そういう自分が漫才よりも無茶苦茶な応対している事に気付かないのね....


【結論】

 ABOFAN氏は少なくとも上記2例に関しては、吉田氏への反論を成しえていません。
 (他は反論を成しえているわけではなく、今回は対象にしないだけです)
 しかし、口調やはしゃぎようは、まるで「反論を成しえている」かのようです。

 彼は「実際には噛み付けていないのに」、「噛み付いているフリ」を一生懸命して見せているだけなのです。

 正直、こんな駄文をいちいち検証する時間すらもったいない感じ。

 彼は、当ブログに
 >この本、ちょっと読んだだけですけど、結構間違いがありますよ。
 >大丈夫ですか?
 と書き込んでいました。

 でも、斜め読みでこんな検討外れのいちゃもん並べ立てて、ABOFAN氏こそ大丈夫ですか、という感じですが...
 まさかまさか、彼が言う「間違い」とは、今回挙げた事例も含むのではないでしょうね...


【釘を刺す】
 こういう批判を書くと、だいたい言ってくるパターンは決まってます。
 
 A 「当然の事だから書かなかった。」と嘯く
 B 「誤解です。」と言ってから、以下、本旨と関係ない話につなげ、話題をそらす
 C 「あれは○○という意味で書いたつもりです。」と言って、新たな用語を使って言い訳をする。

 まず、「当然か否か」云々に拘る以前に、「それを記載しない事で」反論として成しえていない点を問題視できない、という判断力の低さを示す事になります。そもそも、「ABOFAN氏の当然は皆の当然」と誰が決めたのでしょう?(むしろ、『ABOFAN氏の当然は、それ以外の人の非常識』という事が往々にしてあるような...)。
 また、「書いたつもり」であっても、「書いていない」のならば、やはり「必要な事に気付かず書かなかった」というABOFAN氏の判断力の低さを示す事になります。
 また「後付の言い訳」と謗られても文句言えません(さらに、大抵ABOFAN氏はこのような「後付の言い訳」で、さらに説明できなくなる泥沼に陥る事が結構あります)。

 書かれないものは大抵伝わらないのです。
 自分の文章構成力の低さを、他者の「テレパシー能力」に頼るのはやめましょう。

 なお、Bは論外。
 話題の拡散で、自分のミスを覆い隠すという最低の逃げですね。

 (おまけ)
 D これらのABOFAN氏に対するダメさ加減の指摘を一切無視して、
   「私の主張を分かりやすくまとめてみました」と、反論している事をほのめかしつつ
   全然違う事を弁解しているページへ誘導しようとする。


【終わりに】

「間違っている」と豪語した以上、今度こそキチンと噛み付いてくださいね
(噛み付くフリだけで、偉そうにしないでね)

やさしくなでであげるから(by 伽羅)
nice!(0)  コメント(6)  トラックバック(1) 
共通テーマ:学問

nice! 0

コメント 6

トンデモブラウ

私は「連続線上にスカスカに無限に存在する」を読んだ時点で、トホホな気分になって以下はスルーでした。
スカスカで無限にあるのはあなたの・・・おぉっと危うく不謹慎な発言を書くとこでした。

Judgementさんの忍耐力にビックリ。
なんで無視せずにスッパい葡萄に手を伸ばすかなぁ、不思議だ。
by トンデモブラウ (2008-09-03 08:36) 

山形ミクラス

はじめまして。
kikulogの愛読者として、Judgementさんの仰ることは至極ご尤もだと思いつつも、今回だけは意見を述べさせていただきます。
かのお人を「猫」呼ばわりするのは、世の猫族並びに猫好き族に対する侮辱になりはすまいかと心配しております。
ご一考いただければ幸いに存じます。
by 山形ミクラス (2008-09-03 17:37) 

Oblivion

Judgementさん、はじめまして。
kikulogでの松井論文、坂元論文の解説は判り易く、
目から鱗が落ちる様でした。(笑)

今回、lets_skepticさんのblogで不詳私もABO FAN氏
と遣り取りする機会を得ましたが、ほんの短い、単なる事実確認
でさえもJさんの仰る反論(してるつもり)パターンが現れてました。
A,B,C全て使ってた気がする・・・
「示す意図はありました。ただ、あえて明示はしていません。」
には流石に苦笑させられました。

あの人との遣り取りには本当に忍耐力が必要ですね。
by Oblivion (2008-09-03 22:32) 

Judgement

私は、あの人が「他人とやりとりできる基礎能力」を持っているとは思いません。だから、やりとりについては現状では諦めています。
現状は「やり取り」ではなく、「私からのレクチャー」と考えています。
ただ、いくら説明しても、そもそも理解できる思考が望めないようなので、それも諦めはじめています。
今は「ABOFANというネタ」を料理して、他の人に提供する事を主眼に置いています。
こっちは、彼がなんか喋れば必ずおかしな事がいくつも出てくるので、ネタに困らないし、楽でいいですね。

[トンデモブラウさん]
多分彼の「アレフ」は『科学者と数学者が頭をかかえる8つの難問(Dewdney,A.K.)あたりの本の受け売りと思います。
それで、無限における密度の違い、という事を”非常に高度っぽい話”と気に入っているのでしょうね。で、「よし、無限が出たら、アレフの話すれば賢そうに見えるだろう」という、ホントにトホホな動機だけで使っているようにしか見えません。
※ちなみに、このブログは「社会的な事件」に関して以外は、不謹慎な発言OKですよ(私自身が不謹慎な人間なので)

[山形ミクラスさん]
まぁ、私もABOFAN氏のあの反応を見て、猫に悪かったなと反省。
でも例えば(例えばですよ。誰かをターゲットにしているわけでは...)
「ブタ野郎」でもブタ及び畜産業者に悪いし、
「ゴミ野郎」でもゴミ及びリサイクル業者に悪いし
「ドグサレ野郎」でも酵母及び発酵食品製造者に悪いし
とかく、どこかにゃカドが立つわけです。
うーん、「泥棒猫」ぐらいじゃダメ?

[Oblivionさん]
はじめまして~。
私ぐらい長く見ていると、もうその手の反応は飽きた、というより「吉本新喜劇のお決まりのネタ」ぐらいに思え、口の端で「へっ」と笑えるようになりますよ。
んで、彼は「隠すフリをする」事が多いですね。
でも、実は持っていないからこそ、一生懸命「隠すフリ」で「持っているフリ」をするのですねぇ。
by Judgement (2008-09-04 00:55) 

山形ミクラス

ええ、Judgementさんが猫族に敬意を払っていないとは、これっぽっちも思っておりませんよ。
喩えもなかなか大変なものですね。
かのお人が猫を自称するのは勘弁して欲しいですが。
by 山形ミクラス (2008-09-04 19:41) 

Judgement

はい。
正直言って...非常にキモかった
by Judgement (2008-09-04 22:59) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。