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3つ目のプロパティ [ここに来た皆さんへ]

そういえば一つ忘れていました。
私の属性について「心理学」と「占い師」と,あとひとつは何でしょう,という事。

答えは「マジシャン」なんです。

といっても,当然プロマジシャンではなく,学生時代にマジックのサークルに属していた程度のアマチュアですが。
 
 もしかすると皆さんはマジックの事を,ハイレベルのテクニックや,ハイクオリティの仕掛けによって成されていると思っているかもしれません。
 もちろんそれがあればなお良しですが,どんなに素早く動けても,当然光の速さを超える事はできません。

 マジックで一番必要なのは「正解を導くための情報の取捨選択を誤らせ,観客が導く合理的な結論を誤らせる」という事です。つまり,人間の性質としての「錯覚」や「錯誤」こそが,実はマジックの最大のタネなのです。

 このあたりの事はそのうちゆっくりまとめるとして、今思うことをつらつら書きます。


 超能力者キラー,ジェイムス・ランディーは著名なマジシャンですが,彼が嘘の超能力を見破る事ができるのは「手品のタネ」に精通しているから,というよりも
「見えている事や言っている事が全てではない。」という点と
「ある事柄についての理由はひとつだけではない」という点を
自分の仕事であるマジックの実感として分かっているからと思います。

 例えば,蓋をした瓶の中で組み合わされたボルトとナットがひとりでに動いて外れる,なんて現象は超能力以外に考えられないでしょう。
 でも,実はそれは「蓋がキーとなるトリック」だったりします。

 しかし,「蓋をする」という行為について「密閉して不可能性を増すため」と説明され,その理由で納得してしまった人は,確かめもしないのに「怪しい所は全く無かった。あれは超能力だ」と信じてしまうのです。
 モチロン,常に蓋に仕掛けがあるとは限りませんが,皆に『何でそんな馬鹿な事を言うんだ』と思われようとも「蓋をしないで同じ事をやってくれ」と要求できるのが,「懐疑主義」であり,その懐疑が真相を暴くことを可能にするのです。


「海皇紀」というマンガで主人公が
「俺は自分の目で見た物しか信じない...なんて思わない」
 と言う場面があります。
 これは真の現実主義というものを的確に示しています。

「自分の目で見た物しか信じない」という人は,徹底的な現実主義に思えます。
 しかし,自分が思う程「自分の目」は客観的ではなく,主観の影響で「自分の目で見た」と錯覚し易いという事も一つの“現実”なのです。

「自分の目で見た」からと言って安心して受け入れるのは,不十分な現実主義であり
「自分の目で見た」と感じたことすら疑うこそが,真の現実主義と言えるでしょう。 


 疑似科学信奉者の中には,ただ盲目的にそれを信じているのではなく,自分で確認した上で「自分で確認したから間違いがない」と主張する人もいます。
 しかし,残念なことに,その「自分の確認方法」が間違っているかどうかまでは疑えないようです。

 「血液型と性格の関係」は,科学として追求するには結構筋の良いテーマであり,きちんとしたやり方をしていれば,何らかの有効な科学的知見が得られる可能性が高いのでは,と個人的には思っています(自分で究明しようとは思わないけど)。

 しかし,「血液型と性格の関係」が疑似科学として有り続ける問題の本質は,主張者における「自分を疑えない」甘っちょろさにあると考えています。
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トンデモブラウ

「甘っちょろさ」ではなくて、「見たものも信じない」狷介な頑迷さではないでしょうか。
何か違うものが見えているのかもしれませんけど。
by トンデモブラウ (2008-08-11 08:31) 

Judgement

 「見えていない」けれど、「見えていない事に気付かない」あるいは、「見る必要が無いと信じきっている」のだと予想します。

 ただし、彼らには確かに極端な頑迷さを感じますが、その異端な思考パターンに見えるものも、源を探ってみれば、誰でも思い当たる思考傾向に行き着くかもしれない、と思っています。 
by Judgement (2008-08-12 01:05) 

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